SSブログ

震度7~8に耐える原子力発電所の安全性が抱えていた盲点 [原子力発電所]

ほりけん、大学に移る前には企業で燃料電池の研究開発を行なってきました。
燃料電池の前には、新型の原子炉圧力容器(福島原発は旧型)の開発に従事してきました。
 
原子炉には 2つのタイプがあります。1つは沸騰水型原子炉(BWR)です。
元々、米国のGE(エジソンの会社)が開発し、東芝と日立が技術導入、現在に至っています。
 
BWRは、東京電力、中部電力、北陸電力が使用しています。福島原発もBWRです。
BWR無題.JPG
原子炉圧力容器は、直径十数m(土俵の直径4.5mの3倍)、高さ50mにも及びます。
厚さが20cmを超える耐熱性に優れた、非常に強度の高い合金で出来ています。
 
原子炉格納容器は、厚さが2mにも及ぶ鉄筋コンクリートで出来ています。
並みの鉄筋ではありません。原爆が落ちても壊れない強度を持っています。
勿論、格納容器外の水素爆発は、蚊がとまったようなものです。
 
福島原発は、原子炉が既に停止している点、原子炉格納容器を備えている点で、
チェルノブイリ原発とは全く違います。今後の課題は、炉心を如何に冷却するかです。
 
 
 
原子炉のもう1つのタイプは、加圧水型原子炉(PWR)です。
元々、米国のウェスチング・ハウスが開発し、三菱重工が技術導入し、現在に至っています。
数年前に、このウェスチング・ハウスの原子力部門を東芝が6000億円で買い取りました。
 
関西電力が使用しています。 
PWR無題.JPG
制御棒を上から制御できること、冷却水の全てを原子炉格納容器に封じ込めることで、
安全面では、PWRの方がBWRよりも優れているのかも知れません。
 
 
日本の原子力発電の安全性は、耐震設計も含め、世界で最も優れており、
福島原子力発電所の今後が世界のエネルギー政策を大きく左右することは自明です。
 
何れにしまして、震度7や8ではびくともしない原子力発電ですが、
津波によって安全系の全てが作動しなかったことに盲点がありました。
原子炉は既に停止しています。かくなる上は炉心の冷却です。
東電には、福島原発の安全を死守しつつ、炉心を冷却して頂きたいものです。

nice!(307)  コメント(33) 
共通テーマ:地域

nice! 307

コメント 33

micky

地震では止まった原子炉なのに、2700度もあったものを、冷却しようと
していたら、冷却用の設備が津波で流されてしまったと、ききました、
ほりけん先生、新型原子炉の開発に従事なさってらしたんですね。
私も親戚が東電の旧型開発関係者なので、この図、旧型と新型の違いが
はっきりわかりました。
by micky (2011-03-15 22:41) 

1969kana

安全な日本の原発がこんなことになったので、世界中も注目しているようですね。
by 1969kana (2011-03-16 00:35) 

Yoshitaka

先ほど東海地方にも震度6強の地震が発生しましたが、ほりけんさんのところは大丈夫でしょうか?


by Yoshitaka (2011-03-16 00:51) 

bamboosora

福島の原発からは離れているとはいえ、
川崎市に妹夫婦がすごく心配です。
by bamboosora (2011-03-16 01:58) 

淳司

原子炉は冷却の事も考えて海岸沿いに・・・
地震が来れば津波の起こる可能性が・・・
という事は津波を甘く見てたのでしょうか・・・?
素人考えですが今回の問題は、
盲点というよりは完全なミスではと思ってしまいます。
今回、原子炉問題が無ければ、
もっと被災地に対していろいろ出来るのに(><)b
by 淳司 (2011-03-16 05:20) 

サモアン

この図の説明、非常に分かり易くて感謝です。
テレビの解説だと、説明中にごちゃごちゃと周りが連中がいらぬ
コメントをするので、よく分かりませんでした。
今回の件で、なぜ以前つとめていた日立の株価がストップ安に
なっているのかも、理解できました。
東海地区も含めて自分のいる東京も、まだまだ不安な情勢が
続きますが、被災地の方とともに頑張っていきましょう!

それにしても、東電の一部の人が諦めモードのなっているのは、
何とかして欲しいですね。(現場の職員は、頑張っているのに)
by サモアン (2011-03-16 08:54) 

ほりけん

micky 様
原子炉の材料にはモリブデン(融点2600℃)、クロム(1900℃)が多く使われています。鉄(融点1500℃)に比べて、融点が非常に高くなっています。こうした材料の融点に対して、2700℃はかなり厳しい温度ですが、炉心の温度に比べれば、原子炉の温度は多少は低くなっており、2700℃が何日も続かなければ、原子炉はもつと思います。何をしてでも炉心温度を下げることです。

1969kana様
耐震設計では、世界でも群を抜いています。地震に対しては、問題なく原子炉は停止しました。問題は、津波でした。

Yoshitaka様
夕べの地震、名古屋の震度は3でした。大学の執務室が12階にあり、大きく揺れるのでビックリしました。
by ほりけん (2011-03-16 10:59) 

ほりけん

bamboosora 様
偏西風にのって放射能は動くはずです。太平洋側に多く流れると考えます。福島原発までの道が寸断されている訳ではありません。国をあげて、原子炉に水を入れることだけを考えればいいわけですから、対策はあるはずです。

淳司様
津波を甘くみていたことは事実です。原子力発電のプラントが1回/千年の地震に備えた設計になっていた訳ですから、1回/数十年の津波対策しかしていなかった東京電力の責任は否めないと考えます。地震発生後の対策も、後手・後手に回っている感があります。
by ほりけん (2011-03-16 11:16) 

ほりけん

サモアン 様
原子炉がPWRの三菱重工の株価は落ちていません。
原子炉がPWRとBWRの東芝の株価は100円安です。
原子炉がBWRのみの日立の株価はストップ安です。
原子力発電の今後の建設計画のトーンダウン以上に、株式市場が、BWRの方がPWRに比べて危険だとの判断を下した可能性もあります。
日立が、震度6+の茨城にあることが嫌われたのかも知れません。ただ、それなら、月曜日に株価は落ちていたはずですが。
by ほりけん (2011-03-16 11:35) 

タニクママ

わかりやすい説明、ありがとうございました。
いずれにしても、危険な状態にあるのは変わりなく、現場で決死の作業をされている方々のことを思うと、胸が苦しくなります。
また、避難をされている方々も、心配でなりません。。。
by タニクママ (2011-03-16 12:25) 

どぼちょんぱぱ

さすが、わかりやすいご説明です。
原子力発電は避けて通れないとはいえ、
今後のエネルギー政策に大きな課題ですね。
by どぼちょんぱぱ (2011-03-16 12:59) 

captain_bassy

非常に分かりやすいご説明、感謝です。
原子炉はすでに停止していて、現在は炉心を
冷やすための作業をされている訳ですね。

マスコミの、単に不安を煽りたてるだけの報道に
強い苛立ちを覚えていたところです。

身体を張って作業されている現場の方々の
ご無事を願ってやみません。
by captain_bassy (2011-03-16 13:34) 

Cazz

仕組みがよくわかりました。
様子を見ながらあまり心配しすぎないように
心がけることができそうです。
by Cazz (2011-03-16 14:58) 

てんてん

少し安心しました。
ありがとうございました。
by てんてん (2011-03-16 16:24) 

妃屋

めっちゃ分かりやすい解説をありがとうございます!!
テレビは同じ事を繰り返し言うだけで、分かりにくく不安になるだけでした(>_<)
里の京都は福井の原発が近いので、それも不安でしたが、少しホッとしました。
福島原発で作業にあたられている方々の安全と健康を心からお祈り申し上げます!!
by 妃屋 (2011-03-16 16:56) 

babu

本当にほりけんさんの説明わかりやすいです。
それにしても津波を想定していなかったとは残念。
by babu (2011-03-16 17:43) 

yukio

 盲点というのが、これを見て良くわかりました。 よく「想定外」という言葉が簡単に出ているような気がしていました。
 今回の福島原発の事故。 なった事は致し方ないとして、情報が一元化されていないのがとても不安です。
 東電・原子保安院・官邸が其々会見せず、正確な情報元を発信するのを願っています。
 最後に、現場に懸命の作業をされている方には頭が下がります。 無事で任務を終えて欲しいと思っております。
 
by yukio (2011-03-16 18:29) 

pokochan♪

こんばんは。
いつもお世話になっております。
ほりけんさんからも、ソネブロの皆様に、支援の呼び掛けをお願いいたします。宜しくお願いいたします。m(__)m
by pokochan♪ (2011-03-16 19:40) 

arles

さすがほりけんさんです。
よくわかりました。

話は変わりますが、
携帯充電はうってたりしますが、
PCとか家電で使う程度の
ソーラー電池って、自分で何とか作れないでしょうか?
大掛かりですが屋根につけている家はみますが。
あとは蓄電出来たらいいのにと思います。
自分でも発電できるようになったらいいのになと
思えてきました。
by arles (2011-03-16 19:57) 

kiko1578

TVで見ていてもよくわからなかったんですが説明して
いただいてそうだったんかと思えるようになりました。
ありがとうございます。
2700度という温度をさげるにはどうすればよいのでしょうか。できるんでしょうか不安がいっぱいです。
by kiko1578 (2011-03-16 20:00) 

茶の間おじさん

共和泊原発見学してきます。
by 茶の間おじさん (2011-03-16 20:51) 

ピーナッツ

原子炉について全く分からず、情報だけが1人歩きして不安だけが募っていたので助かりました。
ありがとうございます。
by ピーナッツ (2011-03-16 22:06) 

野うさぎ

有難うございます 分かりやすいです。
書いている途中で地震が有りました。落ち着きません。
by 野うさぎ (2011-03-16 22:44) 

tktk

原子炉緊急停止後もタービンを動かし続ければ、少しは冷却効果が得られたのでは?
by tktk (2011-03-16 23:06) 

じゅりあん

科学に弱い私にも、わかりやすい説明でした。
ありがとうございました。


by じゅりあん (2011-03-16 23:46) 

pandan

津波の大きさは想定外の
大きさだったのでしょうね。
by pandan (2011-03-17 06:38) 

ほりけん

タニクママ様
現場は、死にもの狂いと思います。
東京電力は運転をしている会社です。設計をしたプラント・メーカーもいち早く協力をしてます。ドラーバーがトヨタやホンダの車を運転できても、トラブルが発生したら、トヨタやホンダに持ち込まないとトラブルを治すことはできません。それと同じです。

どぼちょんぱぱ様
エネルギーと食糧は、国家のベースであり、その政策は大変大きな問題です。特に、エネルギー源のない日本にとっては、大きな問題です。日本は石油ショック以来、石油・石炭・原子力・天然ガスとエバランスをとってきました。まだ、計画停電で済んでいるのは、こうしたエネルギー・バランスがあったからだと思います。
by ほりけん (2011-03-17 08:19) 

hilo

放射性物質が飛んでいるみたいですが、大丈夫なんでしょうか?
セシウムは半減期はとてつもなく長いですよね・・・。
アメリカからの冷却剤の支援を断ったのは、使えなかったものなんですか?
とにかく、現場の方達には、がんばっていただきたいです。
by hilo (2011-03-17 08:34) 

ほりけん

captain_bassy様
そうです。原子炉は多少の問題はありましたが、プラントは、地震の規模に従って成功裏に停止しました。問題は、金属製の原子炉の融点を超えないよう、燃料棒の温度を下げることです。水です。大量の水が必要です。
水素はエネルギー密度が低く、建屋を吹き飛ばしはしますが、原爆にも耐えうる格納容器を吹き飛ばすことはありません。

Cazz様
チェルノブイリとは違い、原子炉は止まっています。核分裂が核分裂をよぶような状態ではありません。しかし、原子炉が溶解(メルト・ダウン)するようなことがあってはなりません。炉心が2000℃程度までならともかく2700℃まで上がっているとならば、水による冷却を急ぐ必要があります。水です。水です。
by ほりけん (2011-03-17 08:36) 

ポルン

目に見えないものは怖いです。
ソーラーなど自然エネルギーを普及して原発はやめてほしいです。
by ポルン (2011-03-17 21:41) 

春野


出会いの季節っしょ♪
一人暮らしの女とかマジですぐポンポン落ちておもしれーww
お姉さん美味しかったです(^q^)
http://oyyn1dt.www.sofban.info/oyyn1dt/
by 春野 (2011-04-09 08:38) 

ろぶすたー☆


7万もらってホテルでマットプレイしてきたYO!!
ぶっちゃけ上手くないんだけど、そのぎこちなさがむしろ(・∀・)イイ!!

スマタもしてくれけど、途中から普通にち○こ突っ込んでた件wwwww
http://82mydg9.help.to-hoku.info/82mydg9/
by ろぶすたー☆ (2011-04-11 09:17) 

福島県民

津波が来る前に地震で配管壊れてますが まだこんな記事さらしてるんですか?
津波の想定の甘さも以前から指摘されてますよ。
盲点って。
by 福島県民 (2012-02-24 23:54) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。